FinOps & クラウドコスト関連ナレッジ - 2024年12月
近年、クラウドコストに関する課題が注目を集めています。私自身も注目してキャッチアップしているテーマです。そんな中で、同じ関心ごとをお持ちの方のお役に立てればと思い、個人的に参考になったナレッジや記事をシェアしていきたいなと思います。
A phased approach supporting FinOps adoption
(FinOps導入をサポートする段階的なアプローチ)
Google Cloud が定義する Cloud FinOps を用いて組織に FinOps を導入・推進するためのアプローチが紹介されています。
- 基礎を築く: 現在の状態を評価する
- フレームワークの構築: 実践的な行動と継続的な改善
- 構造の強化:コラボレーションとエンパワーメント
基本的なアプローチは、どのクラウドでもベースの部分は共通していますが、Google Cloud での FinOps Data Platform は見慣れないサービスやデータもあり「Google Cloud だとこのサービスなのか」と興味深いです。
本記事はシリーズものなので、前編も合わせて読むと良さそうです。
730 Is My New Favourite Number for FinOps, Can You Tell Why?
(730 は FinOps の新しいお気に入りの番号です。その理由を教えていただけますか?)
月単位でのサービス利用料や契約を試算する場面で、ひと月を 730 時間で計算する理由が紹介されています。確かに 24(h) x 30(days) = 720 h でもないし、24(h) x 31(days) = 744h でもなく最初に見た時は、なんで 730 h なぜだろうと疑問に思ったことないでしょうか?読むとスッキリします。
re:invent 2024 - Advanced analytics with AWS Cost and Usage Reports
(re:invent 2024 - AWSコストと使用状況レポートによる高度な分析)
昨年実施された re:Invent 2024 のセッションをベースに、CUR 2.0 を Athena で分析する方法が紹介されています。CUR 2.0 の理解や Athena でここまで分析出来るのかと凄みを感じます。年末の 株式会社DELTA さんのイベントでも紹介されていました。
FinOps入門×三大クラウドコスト削減術
AWS, Azure, Google に関するコスト削減をテーマとしていて、普段 AWS を主に利用している私としては貴重な機会でした。似ているようでいて、それぞれの個性があって聞いて面白かったです。
Shifting FinOps Left : the coding phase
(FinOps を左にシフトする: コーディングフェーズ)
FinOps における Shift Left を実践するために、IaC ツールへの実装アプローチが紹介されています。セキュリティの文脈での Shift Left 同様により上流工程での対策が今後されていくことが推測されます。(コスト高騰も発生しない方がいいですしね)
AWSのコストと使用状況レポート (CUR) 2.0をBigQueryで分析してみたいあなたへ
レガシー CUR(CUR 1.0)と CUR 2.0 や Cost Explorer との違い、Net Amortized Cost(償却純コスト)を取得する方法など、実際に旅に出た方の知見が記載されているので、とても参考になります。
Scaling to 70M users: How Flo Health optimized Amazon DynamoDB for cost and performance
(7,000 万人のユーザーへの拡張: Flo Health がコストとパフォーマンスのために Amazon DynamoDB を最適化した方法)
FLO 社が実施した Amazon DynamoDB の最適化に関する記事です。この中で、DynamoDB に関する Well Architected Review が紹介されており、サービスカットの Well Architected があることを知りました。カスタムレンズとしていくつかのサービスが用意されているようです。
- DynamoDB
- DocumentDB
- Glue
- OpenSearch
- API Gateway and Lambda
- ElastiCache
- ECS
- S3
Achieve cost effective cloud operations with AWS Managed Services
(AWS マネージドサービスでコスト効率の高いクラウド運用を実現)
AWS が提供する MSP AWS Managed Service におけるコスト最適化が紹介されています。記事内で紹介されている Trusted Remediator(AWS Trusted Advisor チェックの修復を自動化する AWS マネージドサービスソリューション)が個人的にはとても気になります。SSM と連動するようです。
引用:Trusted Remediator in AMS Accelerate
Accelerate your AWS Graviton adoption with the AWS Graviton Savings Dashboard
(AWS Graviton 節約ダッシュボードで AWS Graviton の導入を加速しましょう)
Cloud Intelligence Dashboards Framework の1つで Graviton の使用状況や利用機会を可視化する Graviton Savings Dashboard(GSD)の解説記事です。CID Framework はときおり新しいダッシュボードが追加されているので要チェックです。
Learning FOCUS: Cost columns
クラウドコスト(パブリッククラウドだけではなくプライベートクラウドや SaaS も想定)の統一規格である The FinOps Open Cost and Usage Specification (FOCUS) に関する解説記事です。クラウドベンダーが提供するデータとの違いが分かったようでわからなかった私にはとても参考になりました。シリーズ記事なので他もおすすめです。
- https://techcommunity.microsoft.com/blog/finopsblog/learning-focus-introducing-an-open-billing-data-format/4321609
- https://techcommunity.microsoft.com/blog/finopsblog/learning-focus-charge-types-and-pricing-models/4357997
ヌーラボにおける Cloud FinOps の取り組み
Backlog や Cacoo でお馴染みの 株式会社ヌーラボさんの FinOps の取り組み。国内では、なかなか実際に取り組まれている企業の状況を知る機会が少ないため、「成熟度モデルでの評価」など、とても参考になります。
Japan FinOps Meetup#3
FinOps Foundation Japan Chapter(FinOps Foundation 日本支部)設立記念の Meetup が開催されました。FinOps Foundation のコンテンツの日本語化も予定されているとのことで非常に楽しみです。
A Simple Config to Reduce Cross-AZ traffic of EKS Workloads
(EKS ワークロードの AZ 間トラフィックを削減するシンプルな構成)
EKS 利用時のクロス AZ の通信コストの最適化について、3つのケースで比較している記事です。
2024 re:Invent announcement recap for AWS Cloud Financial Management services
(2024 re:Invent における AWS クラウド財務管理サービスの発表概要)
re:Invent 2024 でのリリースされたコスト管理関連のアップデート(10個)が紹介されています。
年末なのでAWSのコスト削減してみた
株式会社LIFULLさんでのコスト削減の取り組み記事。まずは現状の可視化から始まりますが、その見方はそれぞれです。私自身も普段前月や前々月と比べることはしていますが、良い期間との比率で比較されているのが、参考になります。
S3バックアップ見直し ~AWS BackupからCRRに変更しコストを月額1600ドル削減しました~
確かに!という感想に尽きるのですが、必ずしも決まった方法にこだわる必要はないため、その都度ワークロードの要件やコストメリットから見直すことが大切だなと改めて思いました。
AWS Cloud Financial Management (CFM) でAWSのコスト最適化ベストプラクティスを学び直す
AWS でコスト最適化を実施する際に必要な考え方やアプローチが網羅されているありがたい記事です。
The Fifth Golden Signal: Why Cost Deserves a Seat at the SRE Table
(第 5 のゴールデン シグナル: コストが SRE テーブルに座るに値する理由)
4つのゴールデンシグナル(レイテンシ, トラフィック, エラー, 飽和度)にコストを追加しませんか?という記事。既に多くの SRE の方の間では意識されている事柄かもしれませんが、明示的に追加するとより浸透しそうで良さそうだと感じました。
When should data teams worry about platform costs? 💸
(データ チームはいつプラットフォーム コストを心配すべきでしょうか?)
データ活用プラットフォームにおけるコスト最適化の記事です。(現在は Member-only story になっています...)アーキテクチャやサービスへの最適化アプローチというよりも、利用されていく中で発生するコスト(データ保存コスト、ETL などジョブやリソースなど)に対するアプローチが記載されています。
【ハイブリッド開催】AWS re:Invent Recap コスト削減の神アップデート全部盛り!
クラウドコスト管理サービス以外にもコストに関連するアップデートも含めて、まさに総ざらい。パネルディスカッションも含めて、興味深い内容でした。株式会社DELTA さんは AWSコスト削減 天下一武道会 での登壇や AWS COSTCUT FIGHT(コスト削減クイズ王決定戦!)など2024年で、個人的に最も印象に残っています。
書き出したら、結構な量になってしまいましたが、どなたかのお役に立てれば幸いです。